2010年2月28日日曜日

28日「津波警報」

昨日の深夜2時半ごろ、
隣人の若いフランス人カップルがまたケンかをはじめ、
起こされ、 2時間つづき、
久しぶりに風も雨もない静かな夜だったのに、
やっと終わったと思ったら、
5時前サイレンが鳴ってまた眠りから引き戻され、
しかし、頑張って寝ようとしたら、
今度は隣人の家をどんどんとノックする音がし、、
その後、再び隣人がばたばた始め、
ついに家のドアまでどんどんと叩かれた。
津波警報が出たという。
『高いところに避難よ!」
すぐ近くの高いところに住んでいる友人宅に電話して、
貴重品、タオルなどをリュックに詰め込んで、
高いところの友人の家に行った。

彼女の家のテレビで情報を初めてきっちりと知ったが、
津波がボラに来るのは8時15分、ということであった。
そのころにはすっかり明るくなっていたが、
今月はじめのサイクロン以来初めて無風の穏やかな朝であった。

そのまま予報の時刻はすぎ、
10時半ごろ警報解除。

日本では三陸で被害があったと聞いたが、
ボラボラは全く何事もなかった。
安心して、いらっしゃいませ。

2010年2月27日土曜日

27日「死ガメ」

死んでしまって海に浮かんでいるカメを見つけた。
ラグーンの中である。
このカメはタイマイ、ダイビングでよく見る種で、
ムリムリのバカガメと同じ。
ショッキングだが、写真を載せる。
甲羅が割れているのがみえるだろうか。
ボートのプロペラに当たって死んだのは間違いない。
私もボートを運転しているときに、突然息継ぎに現れたカメを
引いてしまいそうになることがある。
スピードボートというのは、いろんなところで生き物を傷つけている。
自然界を生き抜くだけでも大変なのに、近頃は人間によって
傷つけられ命を落とす生き物が多すぎる。

ウミガメの甲羅は、リクガメと違ってプロテクションの役割をほとんど果たさない。
リクガメみたいに、頭と手足を中に引っ込めることもできないし、
サメにがぶりとやられたら、あっけなく貫いてしまうようなやわらかいもので、
ちょっと分厚い皮膚ぐらいなものだと思うといい。
ちょっとめくれただけで、下の肉が見えてしまう。

かわいそうに・・・。
次に生まれてきたときには、世界はどんなだろうか。

26日「見分け~オス雌編」

タプーのレモンシャークはみんな女の子だが、
ツマグロ、ムリムリのオグロメジロザメには男の子も混じっている。
これらのサメの男の子と女の子の見分け方は
とても簡単である。
 
女の子。
男の子。
ほら、おち○ちん。

※正確には「交接器」というらしく、二つある。
交互に使うとかなんとか、とにかく一つずつ使うらしい。
いいわね~。 (なにが!?)

2010年2月25日木曜日

25日「見分け」

基本タプーには7匹のレモンシャークがいる。
私が勝手に名前をつけているのは4匹である。
みんな女の子。
数日前に7匹全員が他のスタッフによって確認されている。

2010年2月22日月曜日

22日「復活!」

まっ茶色になっていた木の葉っぱが新しく生えかわって、
新鮮な黄緑の葉になってきた。
まだ2週間しかたっていないのに、
驚異的な回復力である。
根っこを海水に完全に浸水してしまったのは
どうしようもなく、枯れてしまったが、
うちの前のマンゴーの木なんて、
茶色の葉がすっかり落ちて、
新しい葉がもうすっかり大きく広がっているもんだ。
さすが熱帯、
ざざっと雨がふって、
ぱあ~っと日が照れば、
もう緑がにょきにょきっ
なのである。

天気、今週は不安定。
雨が降って、風強し。

2010年2月21日日曜日

21日「イソギンチャク」

イソギンチャクは通常こんな色をしている。
裏側はきれいなピンクである。
触手にそっと触れてみると、そのあたりがきゅっと縮こまると同時に、
指に吸い付かれる感じがする。
イソギンチャクは刺胞動物であるから、
乱暴に触るとむかついたイソギンチャクに手を刺される。
たいしたことはないが、結構しつこくひりひり痛む。
刺すと同時に軽い毒を撃込む感じである。
その触手で獲物を捕らえて丸呑みにする、立派な肉食動物だ。
イソギンチャクにすむカクレクマノミなどアネモネフィッシュは
イソギンチャクの毒に対する耐性がある。
だから「ファインディング・ニモ」で父親がクラゲの触手に触れてしまっても、
大丈夫だったのである。
基本なにものにも触れてはいけないポリシーで潜っているが、
イソギンチャクの裏側の感触はとてもいい。
触っているのか触っていないのかわからない、
とてもかすかでやわらかい感触で、
天の羽衣ならぬ、海の羽衣はさもありなん、
竜宮城のオトヒメさまは
こんな衣をまとっていたのだろうな、
なんて思ってしまうのだ。

2010年2月20日土曜日

20日「イソギンチャクも白化する」

 
トプアドロップオフの下のイソギンチャクが、
また白くなっている。
ご存知のかたも多いだろうが、
イソギンチャクも白化するのである。
要するに水温が高すぎるというわけだ。
といっても、現在28℃、サンゴにとって生きられないほど
高いわけではないが、
なにか気に喰わないことがあるのだろう。
3年前にも白く、というより、蛍光黄色のようになったことがある。
しかし、冬に水温が下がって、またもとに戻った。
今回も気に喰わないことがなくなって、
元に戻ることを祈るのみである。

2010年2月19日金曜日

19日「ハピティの状況~続き」

 
前々回の「ハピティの状況」に載せた写真のサンゴの今の姿。
きれいなサンゴで、見どころだったのに・・・
根元は残っているから、
また育っていくかどうか・・・?

 
アネモネちゃん。
あとの2匹は行方不明。
イソギンチャクも疲れ気味。
それでも、お家は残ったし、
また新しいパートナーが早く来るといいね。

2010年2月17日水曜日

17日「生きている感触」

サンゴを拾って保護し、のちに植え付けをする、
というのはやめである。
私はものすごく間違ったことをしていたらしい。
サンゴさん、すみませんでした!!
ああああ~、私ってあほ~。

サンゴの専門家を話してみたのと、
メリディアンに保護したはずのサンゴのかけらのその後を知って、
おののいた。
メリディアンに保護したサンゴの多くは速攻死んでしまった。
原因は環境が違いすぎるからである。
ひとくちにボラボラのサンゴといっても、
ラグーン内のサンゴ、外洋のサンゴ、
リーフに近くうねりをまともに受けるサンゴ、
深場でうねりの影響が少ないところに育ったサンゴ、
波打ち際で日にさらされることもあるサンゴ、
流れの強いところのサンゴ、
ラグーンの中でも透明度のよい穏やかなところのサンゴ、
岸辺に近く、人に踏まれ、土砂をかぶり、タフに育ったサンゴ・・・
などなど、いろんな環境に適して生存しているのである。
外洋のサンゴをラグーンの中に持ってきても、生きられないし、
その逆も同じである。

サンゴの専門化がそう話してくれ、
とにかくサンゴが自分で定着するのを、じっくり待て、とのことである。
折れて転がっているのでも、そこが硬い岩盤のところであれば
(実際は岩盤ではなく、造礁サンゴが長年かけて造った石灰の土台)、
必ず根を張るのだそうだ。
確かに持って帰った珊瑚はすぐに死んで白くなってしまったが、
そのへんに転がっているのはまだ健康的な色のまま転がっている。
砂をかぶれば、絶対に死ぬ。
砂礫に埋もれかけているのを、せめて岩盤のところにおいてみる。
サンゴを触ると必ず指先にぬめりがのこる。
サンゴの分泌物である。
光合成で得てさらに余った栄養分はそとに出すのだ。
その栄養分の粘液を食べるのが、アカホシサンゴガニだったりし、
他の生き物を養っている。
今度見てみるとよい。
サンゴの周りに白く糸をひいたようなのがよくまとわりついている。
それがそうである。
そのうめりが、
「おお、行きとるなあ」
という感じがして、なんとなくうれしいのだ。
(しかあし、触ってはいけないのだよ。)

2010年2月15日月曜日

15日「ハピティの状況」

今日サイクロン後初めてハピティで潜った。
タプーと同じぐらいのダメージで、かろうじてサンゴが残っているのは20m以深、
30m以深はそもそもはじめからサンゴがないから、
ほんのわずかの幅で潜ることになる。
うねりが大きかったので、浅瀬には行かなかったが、
おそらくタプーと同じくツンツルテンになっているはずである。
 
ハピティ一きれいだったヘラジカハナヤサイサンゴ。
90%が消え去っていた。 

イソギンチャクには3匹のアネモネフィッシュがいたが、
今日は1匹が残っていた。
残っていただけでも、奇跡のようである。
早く誰かが来るといいね。

悪いことばかりではない。
今日はものすごく大きなナポレオンが大接近。
あまり人を恐れていないようである。
ずいぶん長い間一緒に泳げた気がする。
そういうときに限ってカメラもってないんだよなあ~。

2010年2月13日土曜日

13日「茶色い島」

ばきばきに折れた木
  
サイクロン前

 
サイクロン後
木がすっかり枯れちゃってるね。
しごく暑くていい天気が続いているが、
風が強い。
島の様子の一部を撮ってみた。
前に言ったとおり、島はまっちゃっ茶である。
風で木々がなぎ倒されて枯れている。
海沿いの木は海水に浸かって枯れてしまった。

一つ私は間違えていた。
ここではハリケーンとはいわない。
サイクロンと呼ばれている。
基本的に、台風、ハリケーン、サイクロンは同じもので、
場所によって呼び名が違うだけ。
ちなみにフランス人は「シクロン」と発音する。

島の掃除は一段落ついたようである。
みんなが掃除したので、
(嵐の後、自然のものでないゴミがものすごく打ち上げられてたらしい)
むしろきれいにすっきりした感じである。

2010年2月10日水曜日

10日「アフターハリケーン報告」

仕事復帰3日目でほぼすべてのポイントで潜った。
ムリムリ: 15mあたりまでは死んだ珊瑚がこなごなに砕けていて、更地のようになっている。
15mあたりから急激に浅くなるので、波あたりも強かったのだろう。
それより深いところは変わらず。カメ1匹発見。バカガメは来なかった。
タプー: 更地。今のところ、サメもお魚たちも相変わらずいる。
トプア: ドロップオフのサンゴが少し砂をかぶっているが、ここはよく洗濯機のようになるから、
これはよくあることである。浅瀬も変わらず。
アナウ: 少し砂をかぶっているぐらいで、変わらず。マンタは少なくとも2個体いる。

ハピティ: まだ未確認。

今週は天気がよく、落ち着いている。
しかし、嵐のあとはあちこちにあり、
パスにある緑と赤の大きなマーカーのぶっとい鎖が切れて流され、
今とんでもないところに、転がっている。
木が大量に折れてしまったのと、おそらく塩交じりの雨風が吹き付けられたのか、
島は全体に茶色である。
葉っぱが完全に枯れて地面に落ちて、まるで秋の終わりのようだ。
にしては、すさまじく暑い。
住人は後片付けに精を出し、
道の両脇は折れた枝やら、めくれた屋根やらが
山積みになっている。
死人がでた、という噂もあったが、それは違うらしい。
よかった。
驚いたことに、ビーチ前のショップは無事であったが、
ノボテル内の元ネモワールドのショップは屋根が一部飛ばされたらしく、
今閉鎖中である。
この小さなショップの屋根が飛んだのは初めてではないから、
驚かない。

それにしても、今週はとても穏やかな天気である。
しかし油断はなるまい。
ハリケーンカトリーナのときも、その後つぎつぎと大きなハリケーンが続いたというから、
と言うのは、縁起わるいだろうか。

2010年2月8日月曜日

8日「とても悲しい出来事」

一ヶ月の休暇からルンルン気分で帰ってきたら、
ボラがえらいことになっていた。
2,3日前にハリケーンがボラを直撃し、かなりの被害が出たという。
まず山がまっちゃっ茶になっている。
しかし、一番壊滅的なダメージを受けたのは、外洋のさんご礁である。
タプーは最も行くことの多い、ポピュラーないいポイントである。
今日潜って驚いた。
サンゴがない。
丸ハゲになっている。
もともとオニヒトデにやられて大量にサンゴが死んでしまっていたが、
死んだ珊瑚は骨格が弱い。
少し前から壊れたサンゴが健康なサンゴを壊し始めていたのだが、
この嵐で完全に、徹底的に、もれなくすべてのサンゴをこわし、
平らにしてしまった。
あんまりのひどさに、お客さんをほっといて、
思わずしくしくと泣いてしまった。
いきなり一瞬固まったガイドに不信を抱いたろうと思う。すんません。
しかし、もう回復するとか、そういうレベルではないのである。
小さなサンゴだけではない。
5m相当の大きさの珊瑚岩までひっくり返っているのである、あちこちで。
ゴンゴロ、ガンガン、ゴロゴロ、ズズズー、ゴトン・・・
巨石が石ころのように、波にもまれて、転がされているのを想像する。
こういう想像を絶する自然の攪乱は実はしばしば起こるものだし、
お魚たちは相変わらずの様子で、ダイバーについてくるし、
その辺の裏返った岩をついばんでいる。
しかし、隠れ住む場所も食べ物もなくなってしまったここから、
もうすぐいなくなってしまうだろう。
こんなふうに感傷的になるのは、後悔があるからである。
なぜちゃんとオニヒトデ退治をしなかったのか。
なぜ死んだ珊瑚に壊されたサンゴを早くから拾って保護しておかなかったのか、
そんなことをしても、嵐のありえないエネルギーの前では同じ結果だっただろうが、
それでも、と自分の怠慢を情けなく思うのである。
震える手で、少しばかり残っているサンゴの生きているかけらを
拾って持って帰ってきた。
植え付けをするのだ。
大きな岩がひっくり返って裏側の石灰質の白いところがむき出しになっている。
 
かろうじて残ったサンゴのうえのメガネゴンベ

特に7~8mより浅いところは完全に丸ハゲ
 
突然の住居不足に数少ないサンゴの家に寄り添うサンゴガニたち